横浜新道(当時は戸塚バイパスと言っていた)が出来たばかり、真っ黒な舗装道路で路側帯、中央線の白線も光っていました。
 ある夜でした、私はこっそり家を抜け出しガレージから車を持出し横浜新道を一人で走って見ることにしました。何時もならお父さんが脇に乗ってアドバイスしてくれていました。
 三ツ沢公園の近くが新道の入り口でした。新道に入り次第にスピードに慣れてきて速度制限は五十キロでしたが、六十キロくらいまで上がりました。そのころは標識も少なく簡単に見分けることができました。
 保土ヶ谷を過ぎたころでした。車の中の後ろのほうから、
「スピードを上げすぎだよ、あまり出すなよ」
 という声がしました。そのとき私は何気なく、あぁそうだなぁと思い、アクセルを少し緩めました。  ところが、今は後ろに誰も乗っていなかったのでした。
 免許を取るときは教官のいうことを何でも、はいはいと聞きました。お父さんの安全運転の助言も素直に聞いていました。
 幽霊のいうことも素直に聞いた私でした。
 それからしばらくは夜の運転は一人ではできませんでした。
                      

2 後部座席から声…この車には私だけ…
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