1 学校帰りにすれちがった人はいったい誰?
 2 「速度を落とせ」という声…誰?
  3 布団をかけてくれる人は誰?
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ちょっと怖い話です
 小学校4年生の時でした。秋も深まり夕方はすぐに日が暮れてしまう11月頃だったと思います。
 学校の帰りには、いつも道草をし、家に着くのは夕方の六時過ぎ。
 今日も辺りは灯りなしでは歩きにくいような…、六時半ころでした。
 もう少しで家に着く、あと500mくらいで、前方から歩いてくるおじさんがありました。近くまで来るとはっきりと、山下おじさんだということが分かりました。山下おじさんは、いつも私に優しくしてくれる人でした。
 実はそのおじさんの娘さんと私の兄(長男)と来春結婚することになっています。山下おじさんと従兄弟になることをうれしく思っていました。

 近づくとおじさんは、重い荷物を厄介そうに背負っていました。
「今帰ったのかぇ」
 と声をかけてくれました。
 やはりにこにことしています。
「はい」と言ってすれ違い、二三歩して後ろを見ますと、もうおじさんは見えませんでした。えっ速いなぁ、と思いその時はそのくらいにしか思っていませんでした。
 それから三、四分して家に着きました。
 ところが、家の入り口で私のお父さんとお酒を飲んで話をしているのは、何とさっきすれ違った山下おじさんでした。山下おじさんは私を見ても何の表情も変えずお父さんと話をしています。
 一週間ほど前にお母さんから幽霊のお話を聞いたことがありました。じぁあの時すれ違ったのは幽霊だったのかなぁ。
 それから夕方明るいうちに帰るようにしました。