
★〈routine魂の光景〉――幻視(=幻化)と思考のズレを埋めるトレーニング〉
★なんだか怖い思いつきだなぁ〜。でも、旅の順路は既にはっきりしている
★2/11(=建国記念の日)、たまたまTVのスイッチをONにしたら、NHK総合で映画「岸辺の旅」を放送していた。
僕のまったく知らない映画だった。
既に始まっていた。
妻・瑞希(=深津絵里)、夫・優介(=浅野忠信)夫婦が、食堂を営む夫婦の元で、手伝いをしながら暮らしている場面だった。
★映画のあと、「岸辺の旅」に関する情報をチェックして得た情報によると――
この食堂場面の前段(=僕がみなかった場面)で、瑞希の元に3年間失踪していた優介が突然帰ってくる。
自分が「富山の海に沈んで死んだ」ことを話す。
死体は海の底で蟹に食われた。
もうなくなっている。
ここに戻るために長い旅をつづけてきた(実際には3年間の旅。映画の中で2、3度登場する、瑞希が書き、神社に奉納した100枚の祈願書が効いているのだと思われる。)
★優介はところどろこでしばらくとどまって生活していた。
多くの人々に世話になった。
これからその世話になった人々をたずねてまわりたい。
その美しい場所を君にも見せたい……と彼女を旅に誘う。
こうして2人の不思議な旅路がはじまる。
旅の途中では何人もの死者と生者とが交錯する。
ぼんやりしていると(ま、僕は途中からみたこともあり、かなりぼんやりとみていたせいか)、その登場人物たちが死者なのか?……生者なのか?……迷う場面が何度となくあった。
「ぜんぶ死者なのだよ」といわれれば、「ああ、そういうことだったのか……」という感じもする。(ある意味、これがこの映画のテーマなのかもしれない。)
★スイッチONと同時にはじまった「食堂」の場面は、旅の2つ目の場所だった。
食堂を営むこの夫婦は、たぶん生者なのだろう。
奥さんの、8歳離れた妹が死者だ。
妹は古いピアノに向い「天使の合唱」という曲を弾く。
聴きながら奥さんは「妹に酷いことをした、もっと弾かせてやりたかった」とボロボロと泣く。
ピアノを弾きおえた妹は笑顔で姿を消す。
★僕がみなかった、旅の1つ目の場所は、新聞配達業に携わる老人・島影の店だ。
瑞希と優介は、しばらく、ここに泊まり、料理を作ったり、新聞に広告を挟む作業を手伝ったりする。
島影は死者なのだが、本人はそれに気づいていない。
夕方、瑞希がすき焼きの準備をしていると、島影がやって来て鍋を指さし、急に嘆き始める。
この鍋を投げて妻の頭に当てたことがあるらしい。
次の日の朝、建物の様子が一変し、店舗の中は廃墟と化していた。
島影の姿はもうどこにもなかった。(チャンスがあれば、ぜひみてみたい場面だ。)
★最後に山奥の農村を訪れる。
死者と生者とがめくるめくほどに激しく交錯する場面だ。(僕はまったくついていけなかった。)
優介は、ここで塾を開き村人を集めて宇宙に関する授業をしていたようだ。
さっそく今回も始める。
電灯の下で、うなずきながら聴く村人たち。
そのやわらかなまなざしが僕の心に浸みた。
たぶん彼らはぜんぶ死者なのだろう。
最後の授業を終え、夫婦は翌朝、バスを乗り継いで、海へ向かう。
転んだ拍子に笑い合う2人。
海辺の光景を眺める2人。
ここよりも綺麗な場所に行くという優介。
瑞希は泣きながら引き止めるが、優介は黙したまま。
ちゃんと謝りたかったと言う夫を、瑞希は笑顔で許して再会を誓い合った。
優介は姿を消した。
瑞希は泣きながら海辺で100枚の祈願書を燃やし、元の生活へ帰って行った。
★映画「岸辺の旅」を見終わったとき、僕も優介のように旅に出よう……と思った。
少し怖い思いつきだなぁ〜。
旅の順路は既にはっきりしている。
出発点は、僕が学生時代に書いた小説『熊さんにお聞き――ラストポーズbX』のラストシーンだ。
副題(=ラストポーズbX)のとおり、主人公のポーズ(=「ハイ!ポーズ!」の「ポーズ」)がbPからbXまで9つ登場する。
例=若い父親が女の子を膝にのせて『熊さんにお聞き』という童話を女の子と交互に音読するポーズ
例=節分の夜に鬼のお面をつけ細君とケンカの仲直りをするポーズ等々……。

その9つ目のポーズのとき、主人公の若い父親は、ちょっとしたトラブルから別原理の世界に身をなげうつハメになる。
小説の書き手である僕(=当時、学生)は、その寸前、ぎりぎりのところで反転、父親をこちら側の世界に踏みとどまらせた(これがこの小説のテーマだ)。
が、のちのち僕は、このときの「反転」が実は不完全で、反転した「父親」と、反転しきれなかった「父親」とに分離したのではないか?……と考えるようになった。
すなわち、反転に成功したのが今の僕(安全地帯)で、反転しきれなかった僕がこの僕とは別に存在する。
〈旅の順路〉
反転に成功した僕がたどってきたコースを、反転しきれなかった僕が旅するのだ。
まず、吹上の街を歩きたい。
次に、日計の道を歩きたい。
次に……次に……。
多くの人に世話になった。
その人々をたずねたい。
★〈起きがけroutine〉@体重測定A歯磨き・洗面B血圧測定C水のがぶ飲み(0.7リットル)D朝食 Eジョギング F発声練習

★体重測定=65.7
★血圧測定 最高血圧=106 最低血圧=69
脈圧=37(上の血圧−下の血圧)
平均血圧=81(上の血圧−下の血圧)÷3+下の血圧
★朝食

