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 桔梗といふ名の由来
大久保景造氏作「桔梗と」 敬愛してやまないK先生・・・

その方が、ある日、わたしに一幅の絵をプレゼントしてくださいました。

大久保景造氏作 「桔梗と」 
瀟洒な額縁の中には、しっとりとひそやかに、桔梗の花が咲いていました。


その絵に添えられた、一通のメッセージ。
 
炎熱の夏逝く庭に紫のあはれうつくし桔梗一輪
 夏の終わりから秋の初めにかけて、庭の片すみ、あるいは野山の松の木の下あたりに、ひっそりと咲き、いつの間にか静かに枯れていく青紫の花“桔梗”こそ、私の心を捉えて離さぬ、愛惜措くあたわざる花、である。
 ひまわりは「冗舌」。ダリアは「妖艶」。さくらは儚く、チューリップは濃厚すぎて押しつけがましく、菊はあまりにも素朴で潤いに欠ける。
 桔梗は、常に慎み深く、豊かな知性を誇らず、落ち着いた色彩と洗練されたフォルムで、孤独な老人の魂を慰め続けてくれる。Aを、まさに彷彿とさせてくれる花だった。
         中略
 残念ながら、私はまだ「桔梗」を描けるほどの研修は積み上げてはいない。描いても描いても、ただこっけいなだけのしろものしか生み出せない悲しさ・・・。
 描けないけれども「桔梗」は一番に好きな花である。Aに贈る絵のモティフは、桔梗の花でなければならない。その思いは頑固なほどに強かった。私は思索を重ねた末に当代一流の写実の大家、尊敬する大久保景造氏の力作をゆずられることにした。
 大久保氏は、この花の持つ雰囲気を愛し、小品ではあるがこの作品は会心の出来なのであった。少しの間、十六日町小野画廊の壁面を飾っていたのが私の眼に止まり、小野氏のご足労によってようやく私の所有となったのであった。
 私は今、万感の思いを込めて、よろこんでAにこの絵を贈る。
 私と遠く離れることがあっても、あるいは、幽明、界を異にすることになっても、この絵がAにとって、根城にかつて住んでいた一老人を思い起こすよすがとなるであろうことを信じながら・・・。

あまりのありがたさに涙がこぼれました。
何の取柄もないわたしのことを、桔梗にたとえてくださったこと・・・
もったいないと思いました。
でも、そこまで思ってくださっているのなら、
ほんとうに
「桔梗」のような女性になりたいと思いました。
そうして、
おこがましいのですが、そういう願いを込めて、「桔梗」というはんどるをつけさせていただきました。
時代物には必ず出てくる、旅籠やの名前、料亭の名前、女性の名前etcではありますが、
どうぞ、「桔梗」と名乗らせていただくことをお許しください。


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