荒れた登山道でした 谷地温泉〜高田大岳(1,552b)〜小岳(1,478b)〜酸ヶ湯温泉

H22.10.11

 20年もこのコースを歩いていない。雨の翌日の晴天の日なので悪路は承知の上で登山を決めた。え‥‥ナニ〜家内も行くという、これは困った。何しろ谷地温泉からの道は今どうなっているのか分からないし、昨日の雨でグチャグチャの登山になるのは明白である。紅葉真っ盛りの谷地温泉に車を置いて、スパッツを着けて登り始めた。緩やかな登りのブナ林が続く中、やはり登山道はぬかってはいるが道はしっかりしていた。しかしその道は掘られ絶えず小川のように流れている。よどみには落ち葉が貯まり淵になっている。しかし斜面の登りはまだよい方だ。30分ぐらい歩くと問題の974bとのコルの湿地帯に着いた。思っていたとおり平坦な道は登山道ではなく沼地に化していた。登山道には水が溜まってよどんでいる。足の踏み場を間違うと登山靴は泥の中に浸かってしまう。その渕の浅くなった所を何とか探してネマガリタケを踏みつぶしながら、そしてそのタケに捕まりながら右に左に沢状の流れを渡って歩く。とにかく登山道を外さないよう進む先を確認しながら歩く。この湿地を抜け出せるのだろうかと不安を感じながらしばらく進むと、単独行の若者がもう無理だ‥‥と言って立ち止まっていた。彼の前には登山道には見えない湿地と行く手を塞ぐネマガリの密生があった。これはどうしよう、困った‥‥。しかし湿地さえ抜け出してしまい、斜面になると何とかなるので、家内をだましだまししながら進み、足を置く場所を指示しながら歩かせた。単独の若者もしばらくは後ろを着いてきていたが、やがて見えなくなってしまった。やはり一人で来た方がよかった‥‥と悔やんでももう遅い。家内は時折深みに足を突っ込んでいる。やっと湿地を抜けて斜面になっても、深く削られたV字の道は変わらず川のような流れがあった。1,100b付近を越えてやっと登ってきた紅葉の樹林帯を見通せるようになったが、ササや灌木につかまらないととても登れない。さらに頭にも気をつけないといきなり灌木でゴンと頭を打ってしまう。足下に気をつけながら頭にも気を配り、手はササと灌木をかき分けながらも、それにつかまらないと登れないという大変な道である。たぶんこの登山道は整備の手を入れていないのだろう。今まで歩いた山の中では最も荒れた登山道であった。高田大岳の登りは急坂の連続なのだが家内は灌木にもまれ悪戦苦闘しているので、こちらは少し歩いては眺めを楽しみながら待つという連続で余裕ではあった‥‥(^_^;)。私は高山様を見せてくれるハイマツ帯が大好きなのだが、この山はそのハイマツをかき分けながら歩かなければならない‥‥すごい山である。やっと祠のある山頂に登り着いて、眼下に広がる紅葉の景色を楽しみながらの昼食となった。

 高田大岳の下りで小岳から登ってきた方と話した。谷地温泉からの道は酷いでしょう〜が第一声であった。新幹線がすぐに来るのに青森県の恥だよ‥‥と言っていた。この人は高田大岳からまた同じ道を小岳を越えて戻る、その方が早い‥‥と言う、これには納得できた。私は前に登った経験から鞍部から小岳への登りも大変と思っていたが、なんとこちらは階段状に道は整備されていた。まったく谷地温泉からの道とは雲泥の差であった。ハイマツの小岳山頂は強風ですぐに仙人岱に下山。地獄湯沢の硫化水素には注意しながら酸ヶ湯温泉に下った。紅葉シーズンでもあり酸ヶ湯温泉前は大混雑。帰りはバスで谷地温泉に戻る予定でいたが発車時刻は4時42分、まだ1時間以上待たねばならない。生姜みそおでんを食べながらのんびりしていたが、家内が早く温泉に入りたいというので、目の前に止まったタクシーに乗ったら2,620円もかかってしまった。谷地温泉で温めの温泉にゆっくり浸かって、ついでに古びた建物と裸電球とギシギシ鳴る廊下の温泉宿をあちこち見て廻ってきた。ひなびた温泉は一泊2食で5,800円は安い、温泉の入浴料は500円でした。全国から「秘境・谷地温泉」を訪れ、そして高田大岳を楽しむ方は、こんな登山道であることを認識して来てください。登山者は少なく静かな山を楽しめます。急登が続きますが、素晴らしい展望の山です。

9:00谷地温泉〜12:00高田大岳〜13:05鞍部〜13:50小岳〜14:20仙人岱〜15:30酸ヶ湯温泉

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湯ノ岱から小岳(左)と高田大岳

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谷地温泉 入り口に水場がある

駐車場にはトイレ(靴を脱いで入る)もある

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紅葉の谷地温泉から高田大岳の眺め

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登山道は小川になっていた

脇のネマガリを踏みつけて、左右に渡りながら歩く

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笹藪をかき分けながら歩く

足下にある道を外さないように進む

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ハイマツと灌木をかき分けて進む

紅葉の展望は良いのだが‥‥、背後は黒森山

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斜面から石倉岳、硫黄岳、小岳、大岳の展望

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祠のある山頂から小岳へ向かう

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やっと雲が切れて北八甲田の大展望を楽しむ

小岳、八甲田大岳(1,585b)、井戸岳

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田代平方面の素晴らしい紅葉

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高田大岳から小岳との鞍部へ急坂を下る

谷地温泉からの登りとは雲泥の差

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鞍部の湿原から高田大岳を振り返る

アオモリトドマツとハイマツの垂直分布が分かる

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ハイマツの小岳山頂

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清水のある仙人岱からの小岳

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地獄湯沢は硫化水素を心配しながら急いで下る

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酸ヶ湯温泉 紅葉を楽しむ観光客でいっぱい

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