初めての輪行の旅 夏泊半島から松前半島へ(函館、松前、江差、長万部、室蘭、白老、苫小牧

H27.7.2024

 

昨年、折りたたみできる自転車を買ったので、今年は初めて輪行の旅を計画してみた。まず自宅近くの陸奥市川駅から電車で小湊駅に向かい、夏泊半島を一周し青森フェリー港から函館に渡る。二日目は函館山を眺めながら北海道最南端の白神岬へ、そして目の前に見えるだろう津軽半島の竜飛岬を遠望する。さらに松前を散策して長い海岸線を北上し江差に泊る。三日目は日本海沿いを離れ、山越えでせたな町から今金町、ピリカ湖を巡り国縫に出て長万部温泉でカニを食べて泊る。最終日は静狩峠と礼文華峠を越えて延々と噴火湾沿いを走り、室蘭のイタンキ浜、白老のポロトコタンを見学して苫小牧から戻る計画を立てていた。ところが‥‥二日目から雨が降り出し、三日目は大雨、雷注意報が発令。結局、江差からは諦めて八雲までバスでの輪行となった。小雨の八雲駅から走り出したのだが、なんと途中の黒岩でパンク。駅前の商店で聞くと、二つ先の駅の国縫に修理できるところがあるという。結局、雨の中でのパンク修理は嫌なので、JR函館線で輪行し国縫の自動車修理工場でパンク修理。  今回の旅は、青い森鉄道、津軽海峡フェリー、函館バス、JR函館線、シルバーフェリーと思いがけずフルに輪行を楽しめた(悩まされた)旅となりました。

 

 平成27720日(月)

青い森鉄道で陸奥市川駅から平内町の小湊駅まで輪行。駅前で子猫が輪行袋で戯れるのを横目に5分で組み立てて出発。まず白鳥の飛来地浅所海岸を眺め、夏泊半島一周を目指した。大島で休憩。ここは家内と夏泊半島駅伝の時に初めて出会った場所である。私は選手で、家内は伴走で私の荷物を運んでくれた。穏やかな陸奥湾を右に見ながら海岸線を快調に走り浅虫海岸へ。東北大学浅虫臨海実験所の敷地にある裸島は、35歳で逝ってしまった亡き父親に連れられて家族5人で遊びに来た思い出の場所である。あれから51年近くも経ってしまったが、親父の楽しみは仕事と酒ばっかりで、今の私の遊び呆けた姿を見たら嘆くだろうか。青森フェリー港で再び折りたたんでフェリーに積み込む。幸い広い2等客室は一組の家族連れと私だけで広い空間を独占状態。壁に自転車を立て掛けて置く。少しは眠っただろうか23時に函館港着。そのまま誰もいない2階の待合室で4時まで仮眠となった。

八戸10:40発〜陸奥市川駅1156‥‥(青い森鉄道)‥‥小湊駅12:49〜夏泊半島〜浅虫15:2017:20青森港19:10発‥‥(津軽海峡フェリー)‥‥23:00函館港(泊)

走行距離61.6`、平均18.5`、最高時速40.3`、自転車走行時間 3:18:59

 

 00-自転車2

折りたたむ

 00-自転車3

輪行袋に入れる

5分で完了

ブリジストン トランジット

 

8段変速、12.5`、26インチ

 

 j15-01

陸奥市川駅から輪行

(青い森鉄道)

 j15-02

ドアの近くに立てかける

 j15-29

夏泊半島

 

 j15-23

大島を後にする(ここは駅伝の大会で、家内と初めて会った場所)

 j15-03

快晴の浅虫海岸(今回の旅で、晴天はこの日だけでした)

 

 j15-04

津軽海峡フェリー「えさん2000

19:10出港(22,880円)

 j15-05

ゆったりと過ごす、2等席

 j15-22

23時、函館港着

待合室で仮眠を取る

 

 

 

 

 

平成27721日(火)

 曇り空で薄暗い中、ライトを点灯しまずは木古内を目指して走り出す。上磯からは左手に函館湾越しに函館山をぐるりと眺めながら走る。JR津軽海峡線に沿った風光明媚なこの道は、ずっと前から走りたいと願っていた場所であった。やがて函館山が遠ざかり木古内からは山沿いに道が進み知内の道の駅に到着。いつの旅でもそうだが「道の駅」はちょうど休憩場所に都合が良い場所にあって助かる。津軽海峡の下を潜って新幹線が北海道に初めて顔を出す海峡トンネル出口を遠望。来年3月に北海道新幹線は函館まで開通するが、本当に八戸から函館は近くなる。山中の160bの峠を越えて福島町の道の駅へ、ここは横綱千代の富士の出身地であり近くに記念館もある。雨が本降りとなって雨具を着込む。海岸通りを走り抜け、雨の中を北海道最南端の白神岬に到着。本州までわずか19`、しかし対岸に間近に見えただろう津軽半島の竜飛岬は雨雲でまったく見えず‥‥残念。城下町の松前町では松前城を見学。このとき幸い雨が上がり雨具を脱ぐ。上から下まで濡れた状態だが気にせずに入場。コンクリート造りの城には興ざめしたが、国の重要文化財という本丸御門(安政元年1854年建立)が残っていた。出発しようとするとまた雨が強くなり、以降延々と日本海を左に見ながら雨の中を走ることになった。

江良漁港を過ぎると道は高台を走るようになり海岸線を眼下に見るようになる。山が直接海に落ち込む様なので嶮しいながらも素晴らしい景色が続き、立ち止まっては海岸線の景色を眺める。遠くに見えるのは津軽半島かと思っていたが、見えるはずがないので地図で確認すると、日本海に浮かぶ大島と小島のようである。こんな確認ができるのも自転車ならではの楽しみだろう。江差到着は16時、まず開陽丸を見学しきれいな街並みを散策、ホテルニューえさしが今日の宿。明日の天気を確認すると朝から雨模様。特に山岳部のせたな町や今金町は一日中強風・大雨注意報、雷注意報も出ていた。明日は山越えで180bの美利河峠を越えて長万部に向かう予定なのでこれは危ない。そうか‥‥今回は輪行ができるのだ‥‥と気が付いた。さっそく江差からバスで噴火湾方面に出られないかフロントに確認に行ったら、朝7時発八雲行きのバスがホテル向かいのバス停から出るという。これはラッキー、八雲着が853分。そこから長万部までは30`なので、安全を考えてこのルートに決め、夕食の買い出しに出かけた。ところが次の日は‥‥(^_^;)

 

函館港3:45発〜木古内5:55〜知内7:00〜福島8:10〜松前10:00〜上ノ国もんじゅ15:10〜江差17:00(泊)

走行距離164.5`、平均20.0`、最高時速50.1`、自転車走行時間 8:11:17

 

 j15-06

函館山が遠くなる

 j15-27

新幹線が地上に出る青函トンネル

知内町道の駅

 j15-07

北海道最南端、白神岬

雨で対岸の竜飛岬は見えない

 

j15-08 

松前城址を見学

 j15-09

道は高台となり素晴らしい景色が続く

 j15-26

江差が見えてきた

道の駅もんじゅ

 

 

平成27722日(水)

 4時には起床し空を眺める。雨は落ちていないが雲が急速に流れていく。今なら走りだせるかもしれない‥‥と思ったが、天気を確認すると朝から風雨が強まり終日強風と大雨雷注意報が出ていた。ぐずっているあいだに時間ばかり過ぎて、結局バスに乗ることになった。初めてのバスでの輪行はまず座席の確保から。バスには10名ぐらいが乗っていたが幸い空いている席に座り自転車は座席の脇に置いて倒れないように抑える。幅はさほど取らないので前後のお客さんの邪魔にはならないだろう。問題は出口の料金場所が狭くて通れるかどうかであった。ま〜終点で下車なので何とかなるだろう。結局、他の客が降りた最後に荷物と自転車を別個に下ろしたら、すんなりと通過できた。これで一人分の料金では申し訳ない思いである。乗車時間1時間53分、1,830円であった。

八雲駅前で組み立てたが、後輪の空気圧が低いので携帯の空気入れで詰める。それでもなんとなく変な違和感を感じ、街中にあった自転車店で空気入れを借りてパンパンに詰めて長万部に向けて走り出した。天気は今にも降り出しそうな曇天。なんと走る前から感じていた後輪の違和感が現実となってしまった。10`ほど快調に走っていたが黒岩で太いL字の鉄線を踏んでしまってパンク‥‥変な予感が的中してしまった。近くの商店で自転車屋がないか(人家もまばらなので、あるはずがない)聞いたら二つ先の駅国縫の自動車整備工場で自転車も修理できるという。自分で直すこともできたが近くにJR黒岩駅もあり、輪行の試しもあって楽することにした。自転車は2度目の電車の旅となった。黒岩駅の無人の駅舎の中で自転車を折りたたんで電車を待つ。なんとま〜のんびりした時間を過ごしているものだ、それほど輪行は気楽である。国縫駅から5分ほど歩くと国縫オート商会という自動車整備工場があり、車両整備中の人にお願いすると快く引き受けてくれた。結局タイヤは2か所に穴が開いていて、修理代は1,000円‥‥有難かった。それにしても新しい自転車で北海道の旅に出たのは2回であるが、その2回ともパンクとは不思議な因縁である。雨の中、昼少しすぎに長万部駅に到着。駅前のかにめし本舗かなやで「かにめし」を楽しむ。時間があったので駅の待合室で休憩していたらぐっすり寝込んでしまった。今日はわずか20`の走行となってしまったが、雨やパンクのおかげで、思いがけずにバスや電車を使った輪行の旅の気軽さを感じることができた。

 

江差7:00発‥‥(函館バス)‥‥八雲駅8:53〜黒岩駅11:12‥‥(JR函館線)‥‥国縫駅11:22〜長万部駅12:40〜長万部温泉15:30(泊)

走行距離26.6`、平均18.5`、最高時速27.3`、自転車走行時間 1:26:24

 

 j15-10

ホテル前から八雲行きのバスに乗る
(八雲まで2時間、1,830円)

 j15-11

狭い降車口、自転車は通れるだろうか

少し心配になる

 j15-12

黒岩駅から二つ先の国縫まで向かう

 

 j15-13

パンク修理中

国縫モーター商会(国縫)

 j15-21

名物「かにめし」

長万部駅前のかなや(1,080円)

 j15-14

長万部温泉ホテルの夕食

毛ガニ(夕食のみ7,000円)

 

 

平成27723日(木)

長万部温泉ホテルは5時出発。前日は超豪華な夕食のため、今日は朝食なしでも十分にパワーを発揮できるだろう。さらに嬉しいことに県立三沢商業高校が29年ぶりに甲子園出場が決まったと突然NHKから流れた。地元の選手がいない私立のプロ野球予備高校に勝ったのだ。これで苦しい登りでも勇気をもらえる。今日も今にも降り出しそうな曇天、しかし静狩まで10`の直線コースを軽快に走る。すると静狩でまたまた雨。ここから静狩峠、礼文華峠と急坂が続くがしっかり踏み込めた。このコースは2度目でもあり気分的には楽。途中で礼文浜に道をそれて大岸の海岸を眺めながら豊浦を目指した。洞爺湖駅前を過ぎ有珠の道の駅でコンビニで買ったおにぎりを食べる。やっと雨も上がって青空も見え始め、ずぶ濡れだった衣類は走っているうちに乾いてしまった。夏の自転車の旅はこれがあるから楽である。

トウモロコシの露店が目立つようになり2本買って伊達の城址公園で食べる。しかし味はもう一つ、実入りもよくない、これで200円は高かった。我が家のトウモロコシの方が格段にうまい。室蘭の市街地から地球岬を目指そうと思ったが曇天では行っても何も見えない。諦めてイタンキ浜への道を調べていたらロードレーサーに乗った屈強な若者が声をかけてきた。顔も腕も太ももも真っ黒で競輪選手かな?と思うような人だった。親切に道を教えてくれたが、旅はこんな触れ合いもあって楽しい。やはりイタンキ浜は霧で真っ白、昼なのに砂浜一面に月見草が咲いていた。鳴き砂で有名なところなので靴を踏み込んでみたが鳴らない。手のひらを押し込んでひねってみても駄目であった。晴れて砂が乾いていたら、また景色も見られたのにと思うと残念であった。今回の旅では北海道らしい良い景色は全く撮れていない。北海道には梅雨はない‥‥とは嘘である。今までの私の夏の自転車旅のほとんどは雨の中である。

室蘭から幌別、登別と快調に走り白老へ。今回の旅の目的の一つがポロトコタン(アイヌ民族博物館)の見学であった。ここではアイヌ民族の伝統や文化を展示実演している。アイヌ民族は生活のいたるところに精霊が宿り、特に尊敬しおそれる存在を神(カムイ)と呼んでいた。生活が平穏無事に暮らせるのも、災害に合うのも神の力によるものと信じていた。自転車で走っていると素晴らしい景色に感動したり、苦しい坂道を喘ぎながら登ったり、道端の一輪の花に心を奪われたり、いろいろな人と話ができたり、そんなことがたびたびあって、一日のコースを走り終えたとき、何かに守られ走り通せたように感じることがある。それが精霊なのかもしれない。精霊に見守られながら、自然に畏敬の念を持ちつつこれからも旅を続けていきたい。

 

長万部温泉5:00発〜礼文浜7:00〜洞爺駅8:30〜伊達9:50〜室蘭イタンキ浜11:30〜幌別12:5014:40白老15:50〜苫小牧明野17:20〜(温泉)20:50〜苫小牧港21:20‥‥(フェリー)‥‥八戸港7:30〜自宅8:00

走行距離166.9`、平均19.8`、最高時速43.9`、自転車走行時間 8:24:27

 

 j15-15

静狩への真っすぐな道

 j15-24

礼文華峠を越える

 j15-16

霧のイタンキ浜

昼なのに月見草が咲いている

 

 j15-18

ムックリ(口琴)の演奏

 j15-17

アイヌ古式舞踊

(国の重要無形民俗文化財)

 j15-28

トンコリの演奏

 

アイヌ語

アイヌ:人間

ポロトコタン:大きい・湖・集落

カムイ:

イランカラプテ:こんにちは

白老:あぶ・多い・ところ

札幌:乾く・大きな・川

登別:濁った・川

室蘭:小さい・坂

留寿都:道の・ふも

洞爺湖:沼・岸

 j15-19

フェリー車両甲板口に結ぶ

 j15-25

白い航跡を眺める

 

 j15-20

7247:30八戸港に到着

24,500円)

7月の松前半島輪行の旅をアップしたのが2か月後になってしまった。8月初めの中央アルプス縦走も未だにアップできないでいる。8月中旬に家族が入院してしまっては、それどころではなくなってしまったのだ。改めて私の楽しみは家族に支えられているからこそ、できているものだと感じている。いま病状も少し落ち着いてきたので合間を見ながら、また思い出しながら旅の想い出を綴っていきたい。 (^_^)v

(平成27927日)

 

戻る